小坪 - 小坪の四季

文：金子成八

一月: 二日は「ミカン投げ」です。浜に上がった漁船は、色とりどりの大漁旗で飾られます。人も大勢集まり安全と豊漁を祈ります。
二月: 海の幸ワカメが浜をうめます。新鮮な香りが春を呼びます。あの貴重な天日干し天然ワカメは、小坪の名産です。
三月: コバルト色のオオイヌノフグリ、ピンクの花をつけたホトケノザ、白い花をつけたペンペン草など、可憐な花が一面に咲きます。
四月: 学校では、桜、カイドウ、紅白の桃が咲き誇ります。一年生も入学し、教室も校庭も子供たちの声で活気づきます。
五月: 小坪名物「春シラス」も大漁です。ツバメのヒナも巣から顔を出します。山は若葉の季節、春が活動します。
六月: 磯遊びの季節。ウニ、ヒトデ、エビ、カニ、磯は自然の水族館。子どもたちは、心おどらせながら小魚を追います。
七月: 太鼓の音が聞こえてきます。山車（だし）が浜に集まり、はっぴ姿の子どもと大人が一つになって祭りを盛り上げます。
八月: プールは、真黒な顔をした子どもたちで賑わいます。野には、鮮やかなオレンジ色のハマカンゾウが咲きます。
九月: 学校は、運動会の練習一色になります。「一輪車の人、外に出て始めます！」「応援団の人は体育館へ」次々と放送が流れます。
十月: 釣人が小坪漁港に並び糸をたれます。釣るたびに見物人が喚声をあげます。子供も大人も期待でウキを見つめます。
十一月: 海をくれないに染める真赤な落日。幻想的なシルエットの富士山。陽が沈むと江ノ島の灯台が光ります。
十二月: 青く澄みきった青空と海、雪の富士山がそびえます。小坪の四季は、豊かな自然がいっぱい詰まっています。